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夏目漱石の小説に、「夢十夜」という話があります。
黒澤明監督の「夢」のモチーフにもなったと言われる小説です。
漱石の小説の中では異色作で、これは十編から成り立っているのですが、この中の第六夜の話は、鎌倉時代の名工、運慶が彫刻をしているのを明治の漱石が見るという話なのですが、その中の一説に、こんな文章があります。
「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのを、鑿(のみ)と槌(つち)の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。
畢竟、写真もそういうものなのでしょうね。
そんな写真を撮ってみたいというか瞬間を感じてみたいものです。
でも、この話のオチなのですが・・・
自分は積んである薪を片っ端から彫って見たが、どれもこれも仁王を蔵しているのはなかった。ついに明治の木にはとうてい仁王は埋っていないものだと悟った。それで運慶が今日まで生きている理由もほぼ解った。
現在の風景には、素晴らしいものが無かったというのは勘弁です。(苦笑)
では、また。

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